お名前に使用されている漢字は様々です。現在は名前に使用できる漢字が定められていますが、手書きで戸籍を管理していた時代には、お役所の記入台周辺での書き間違いなどから、たくさんの新しい漢字が作られてしまったそうです。DTP担当者が手書きの名簿を見ながら印刷データを作成しようとすると、「こんな漢字あるの?!」と驚くこともしばしばでした。
また、その際に使用したい漢字が指定フォントにないということも多々ありました。そんな時、DTP担当者は似た漢字のデータを組み合わせて文字を作る『作字』を行い対応していました。今回はその『作字』について解説します!
目次 ➖
作字とは
作字とは、印刷データを作成する際に必要な文字がない場合に、既存の文字の部分を合体したり削ったりして新しい文字を作成することです。また、オリジナルデザインで文字を作成することを指す場合もあります。フォントとして登録されていない漢字を扱う場合や、デザインの幅を広げたい時などに行われます。
既存の文字を合体する場合
既存の文字を使って作字する場合は、作りたい部首などを持つ漢字をフォントから探し出し、分解させ、必要な部分同士を合体させます。
オリジナルでデザインする場合
オリジナルデザインで作字する場合は、まず手書きでラフを書き、それをスキャン後にillustratorのペンツールを使用して形作っていきます。
作字のメリット・デメリット
作字のメリット
フォントに登録されていない漢字を使用することができる
作字をすることで、フォントとして登録されていない漢字を印刷データに反映させることができます。
IllustratorやWindowsには多くのフォントが組み込まれていますが、フォントによっては漢字が使用できるものとできないものがあります。特に外国語のフォントでは、漢字に対応していないものが多くあります。また、日本語フォントでも常用漢字以外の漢字がフォントとして登録されていないこともしばしばです。
そんな時に、同じフォントデータで別の文字同士を組み合わせて作字することで、常用外の漢字などを使用することができます。
オリジナリティを出せる
デザインから考える作字を行う場合、自分だけの文字を作り出すことになるので、デザインのオリジナリティを際立たせることができます。表現の幅を広げることもでき、唯一無二のデザインとなります。
最近では、SNSでオリジナルの作字をアップすることが流行しています。いろいろな方々の作字を見ることで、新たなアイデアのヒントを得ることもあるかもしれません!
作字のデメリット
一つずつ設定する必要がある
作字はフォントとして登録されるわけではないので、予測変換に出てくることはありません。そのため、使用する箇所に1つ1つ手作業で組み込む必要があります。そのため、原稿中で繰り返しその文字を使用する際は、手間がかかってしまう可能性があります。
一応、フォントとして登録することも可能ですが、それにはWindowsの場合、外字エディタという機能を使う必要があります。挑戦してみましたが、操作がなかなか複雑な上、そのPCでしか使用できないようです。外字エディタで作った漢字を用いて文章を作成した場合、入稿時にその外字データなどを忘れずに添付していただくようお願いしています。
可読性に問題が出る場合がある
作字をデザインから考え、一から自分で作る場合、オリジナリティを出せる反面、形によっては読みづらくなってしまう場合もあります。デザイン性と可読性の両方のバランスを見ながら作成する必要があります。
最後に
現在では、OpenTypeフォントが開発され、常用外の漢字も問題なく表示されるため、作字する機会は主にデザイン面での方が多くなっています。昔は、『髙』や『嵜』などの漢字を別の漢字同士で部首と偏を分解し、合体させて一つ一つ作字していました。なんだかパズルみたいで面白いですよね。
かたぬき印刷アトリエでは、制作費はかかってしまいますが、作字することも可能です。また、文字の型抜き加工の実績もございます。ぜひお気軽にお問い合わせください!